長期休暇はじまる2024年07月02日 20時07分38秒

この21年間、ほとんど休みらしい休みをとらず、毎日目の前のことをこなすのに精一杯で、とにかくがむしゃらに走ってきた。
しかしいつまでもそんなことが続くものではなく、年齢とともにいろいろなことに衰えを感じるようになるとともに、からだの奥底にじわーっとしたえも言われぬ疲れが溜まってきて、このままではなにか自分らしさが失われていくような気がしてきた。

そこで65歳の定年を迎え、再雇用されたのを期に、職場の皆さんにお願いして長期休暇をいただくことにした。第一回目は、7月1日から8月28にまでの予定。人生でこれだけ長く休むのは、大学の夏休み以来ではないだろうか。

ところが休みに入ったその日から完全停止とはいかず、悲しいかなからだは労働モードにセットされたまま。結局、第一日は休み前にどうしてもやり残してしまった仕事をこなすために職場に出かけてしまった。


そして二日目となる今日、朝里峠一周コースに出かけた。先週の練習走ではけっこういいとこまでからだができあがってきたかと思って走り始めたら、やたらにからだが重い。峠までの上りでは途中で止まろうかとさえ思ったほど。始終、風速3m/sの向かい風に悩み、どんどん体力が奪われていく。まあ、事故やトラブルもなく帰還できたことでよしとしよう。

休暇中は天気が良ければ、とにかく自転車に乗ることを心掛けたいと思っている。

写真はこの5月に朝里峠一周コースを走ったときのもの。定山渓天狗岳の沢筋に残雪が見える。

MUSES72323電子ボリューム ノイズの原因と対策2024年06月13日 20時58分04秒

電子ボリュームMUSES72323の出力は2N3634によるエミッターフォロワーで受けており、その効果は目をみはるものがある。
回路は簡単で、どこも難しいところがない。作業はすぐに終わるはずであった。

ところが聞いてみるとノイズがひどい。オシロで出力の波形を観測すると100Hzに同期した三角波状のノイズがはっきり映っている。電源スイッチを切っても、電解コンデンサにチャージされたエネルギーがなくなるまでの数秒間アンプは活きている。ところがスイッチを切った瞬間にノイズは消える。ということで、ノイズの源は電源トランスに関わっていると推測。

しかし基本に則っり、電源トランスとバッファー回路とはできるだけ距離を離したつもりである。それにこれまでこのような不具合は経験した記憶がない。

長い話を短くすると、エミッタフォロワーのベース側が高いインピーダンスとなっていて、そこへ入力コンデンサ(ASC フィルムコン)がつながる。そのコンデンサがまさに電源トランスの方を向いていて、ここからノイズが混入していたことが判明。

原因がわかると対策は容易で、入力コンデンサの位置を電源トランスから最も遠い位置に移動させた。

パワーアンプにつなぎ、能率100dB優に超えるホーンスピーカーに耳を近づけてもわずかにサー音が聞こえるだけ。

音楽を聞くと、これまで雑音によって知らず知らずのうちにストレスがかかっていたことを実感する。ノイズがほぼ皆無になると、こころがどんどん解放され、からだ全体に音楽がしみわたる感覚が生じる。世間には「ハム音ブンブンでも大丈夫」という方もいるそうだが、私にはちょっと無理かもしれない。

最後に実装風景を。
写真の右上付近に銅箔で包んだ4本のコンデンサが見える。

GaN Single End Power Amp その13 歪率再測定2024年06月06日 19時41分55秒

前回の記事でRC結合の時定数不足について触れた。当初、べつだん不都合を感じないのでそのままにしておこうかとも思ったが、中途半端に放っておいているようで落ち着かない。

部品箱を漁ると、ロシア製のオイルコンが見つかった。ずしりと重くていかにも良い音がしそうな気がする。今ならロシア印だと言うだけで何かと物議を醸しそうだが、これはずっと昔に買い置きしていたものである。

まずは改修後の回路図。C11を追加したほかに、前回の回路図に若干のミスがあったので修正した。
この回路による歪率を再測定した。改修前の100Hzの歪率も参考のために記入してある。
C11追加の効果はめざましいのだが、見てわかるように1uFではまだ不足しており、4.7uF以上は必要かもしれない。
おもしろいことに、改善の効果は1KHzと10KHzにも及んでいて、全体に歪率は低くなった。


音の傾向について、これまで書いていなかった。
ここにくるまでは長い道のりだった。初段は五極管接続と三極管接続、終段はドレインフォロワ(ゲイン有り)とソースフォロワ(ゲイン無し)、これらの組み合わせをすべて試した。よいと思えば発振が止まらなかったり、音が硬かったり、負帰還の量をいじったり。。

これら試行錯誤の結果、この回路となった。
比較の対象は300Bシングルアンプである。このアンプの初段はC3gなので、終段が球とGaNの違いがあるにもかかわらず音の傾向はよく似ている。

これまでどんなにあがいても、GaNアンプが300Bシングルアンプを乗り越えられないと諦めかけていた。しかしこのアンプは300Bシングルアンプを超えたとはっきり言える。
回路は非常にシンプルで、動作原理もなんら難しいところはない。初段は三極管接続、これをGaNによるソースフォロワドライブで受け、終段はGaNソースフォロワ+インダクタ負荷(空芯コイル)、出力はC結合。NFBはかけていない。

音の印象をどう表現したら良いだろうか。深い沈黙から力強く、そして滑らかに音楽が湧き出してくる。そんなふうに表現してみよう。音の重心がとてつもなく低く、それでいながら出るべき音はすべて偏りなく出ている。
加えて、演奏の表情が「見え」てくるようで、何を聞いても新たな発見がある。CD媒体に記録されている情報をすべて引き出してしまい、どんなに努力してもこれ以上の音は出てこないのではないか。そんな気さえしてきた。
効果はCDフォーマット・メディアだけに限らない。YouTubeはエンコード圧縮されているはずなのだが、なかには妙に生々しく感じられものもあり、変に手を加えられていないせいなのか、感動が深かったりすることもある。よいものを探し当てると、これが手をたたきなるほどすばらしく、生きていることがうれしくなることがある。つくづく良い時代になったものだと感心する。

ということで結論。手元にある300Bシングルアンプは退場させることにした。この世界では、「2位」であることは存在価値がほないと宣告されたのと同じなのだから、まことに厳しい。

GaN Single End Power Amp その12 歪率測定2024年05月31日 21時24分13秒

歪率の測定結果を掲載する。
ご覧のとおり、1KHzと10KHzの振る舞いは素直であるのにもかかわらず、100Hzが極端に悪い。理由はわかっていて、前段と次段のGaN(ソースフォロワー)の間のCR結合の時定数が小さすぎるためである。対策として0.22uFを1uFにすれば良好な特性が得られるはず。
いずれにせよ、現状のままでも音を聞く限り問題は感じられないので、おそらくこのままとなる可能性が高い。

周波数特性についてはグラフとしては示していないが、1W(8Ω負荷)で、10〜50KHz(-3dB)であった。これは入力トランスの周波数特性をそのまま反映している。

GaN Single End Power Amp その122024年05月31日 09時41分36秒

詳細は後で書くとして、最新の状態を写真で示す。
回路図は以下のとおり。
増幅部から。
続いて電源部。