フィールド(励磁型)スピーカーの挙動 その12020年12月07日 21時36分59秒

フィールドコイルの電源は、定電圧か定電流か。まずそこを切り口にして考えてみよう。その前に、スピーカーの挙動をシミュレーションしてみることにした。

回路図のL1はボイスコイル、L2はフィールドコイルに相当する。LとRの値は実測である。L1とL2は原理的に電磁結合しているの結合係数が発生する。いちおうそれらしい値を入れてみた。
ボイスコイル側にパワーアンプから1KHz、ピーク値1Vを入力させたとき、フィールドコイル側にはご覧のように300mV(ピーク値)の電圧が発生する。
この電圧がボイスコイル側に影響を与えることは容易に想像できる。理想的には、ボイスコイル側にどんな入力があっても、フィールドコイル側は電流変動がゼロであることが望ましい。

(補足)
    磁束φは、自己インダクタンスLと電流Iの積であるから、
    電流が変動すると自己インダクタンスも変動し、
    これによってボイスコイルの変動量が変化してしまう。

ところがフィールドコイルを定電圧でドライブしても、電圧変動はゼロとはならない。定電流回路でドライブすれば確かに電流変動はゼロになる。しかし実際の出力インピーダンスは有限であるから、そのためゼロにはならない。結局、これまで提案されてきた方法には限界があるという結論に至る。

ここに研究の余地がある。第三の方法を探す。

フィールド(励磁型)スピーカーに挑戦2020年12月07日 20時51分44秒

「オーディオ再開!レコードで音楽を楽しもう」は、数あるオーディオブログの中で、管理人さんの情熱と熱気は抜きん出ていて、大いに刺激をいただいている。失礼ながら常識にとらわれない突拍子な表現が多く、出る杭は打たれるで、さぞかし攻撃も少なくなかろうと心配になるほどである。

ところで、この管理人さんはまるで「励磁型スピーカーの伝道師」と呼ぶにふさわしく、とうとう私も軍門に降って、フィールドスピーカーに挑戦することにした。

問題は、どのスピーカーを選ぶかである。さすがに「レコードで」の管理人さんのようにはいかない。もう少し小ぶりで低廉でないと手が出ない。

そこで最終的に選んだのが以下の写真のもの。
Atelier Rullit Silver LAB8
一年ほど前にeBay経由で1ペア購入した。
シリーズ番号は053と054である。
検索すると、日本でもこのスピーカーを使っている方がお一人おられるようであるが、シリーズ番号は私の方が少し若い。

一年間放っておいた理由はいくつかあるが、一番は、フィールドコイル用の電源をどうするか、なかなか決まらなかったためである。これ一つで音がコロコロ変わると言われている。ここは腰を据えて検討するべきであろう。

フィールドスピーカーを使っている人はかなり少数派なので、電源に関する情報もかなり限られる。定電圧がよいのか定電流がよいのか。整流方法はどうする?この世界の定番とも言えるタンガーバルブなど手は出ない。それでも良い音を出したいというのだから、なんとも都合がよすぎる。

いっそのことWE91B型アンプに忠実に従って、フィールド型スピーカーを平滑回路のチョーク代わりに使うか。まあ、それは将来の計画として、とにかくフィールドコイル用電源をあつらえることにした。その顛末については、また次の記事で。