試作11号 その2(水晶発振子 4個シリーズ接続)2020年11月12日 19時47分48秒

試作11号機の目標仕様は以下の通りとする。

・発振子をαゲル(製品名Taica)でサンドイッチして、ほかの構造物から浮かす。
・発振子はアルミボックスに収納する。
・アルミボックスもαゲルでシャーシから浮かす。
・シャーシも床からαゲルで浮かす。
・発振子にはオーブンに入れず、そのままとする。αゲルで挟んだ構造物にオーブンを実装する方法が思いつかないということもあるけれど、4個の発振子をオーブンに入れるのはかなり大がかりとなるのが最大の理由。


まず発振子の様子から。いろいろ考えた末に、GaN素子の変化基板に使ったアルミ板がちょうど良い大きさだったので、αゲルを発振子の両面につけたものをこのアルミ板でサンドイッチするようにした。
最初、発振子は三個にするつもりだったが、基板に載せてみると四個の方が収まりが良い。結局、なりゆきで四個シリーズ接続となった。
これの上にもう一枚のアルミ板を載せて挟む。
この発振子ユニットを収納するアルミボックスの様子。
中に入っている緑色の物質はグリーンカーボランダムである。
ずっと昔に大量に買い込んでしまっていたものを棚の奥から取り出し、活躍の場を与えてやった。
グリーンカーボランダムは導電性があるので、そのまま裸で発振子ユニットを突っ込むことができない。発振子のリード線を絶縁テープで養生してから手芸用のポリエステル布で包んでからグリーンカーボランダムの中に埋め込む。
こうやってなんとか形はできてきたが、問題なのは真空管が載ってある基板と発振子ユニットの間をどのように接続するかである。素人考えでも可能な限り短いのが良いだろうとわかる。しかし、物事には限度というものがあって、5~6cm程度のリード線が必要となる。このことが後で問題となるとはこのときは気がつかなかった。
この項続く。

試作11号 その3(水晶発振子 4個シリーズ接続)2020年11月12日 20時32分32秒

アルミボックスに収納する前、動作試験時の接続状況。

発振子ユニットと発振増幅基板を結ぶリード線の様子がわかるのが下の写真。WE404Aのカソードにつながる線を、グランドにした銅箔でサンドイッチしてある。ノイズ対策のつもりだった。
それから、発振増幅基板はアルミボックスにポリエステル布で挟んで縛り付けるようにして固定した。これも後で問題になった。

こうして試行錯誤の軌跡を振り返ってみると、けっこう間抜けなことをやっていた。

試作11号 その4(水晶発振子 4個シリーズ接続)2020年11月12日 20時45分05秒

裸の状態で動作試験をしたときはうまくいった。ところが、すべて箱に収めてこれで完成という状態にして動作確認してみると、様子がおかしい

なにしろ水晶発振子4個のシリーズ接続である。非常に鋭いQになるかと思ったら、どうしようもないくらいブロードである。調整用のバリコンを回すと出力周波数もそれに従ってどんどん変化する。これでは使い物にならない。原因は何か。

とりあえず水晶発振と増幅基板を結ぶリード線が原因と推測し、銅箔テープでサンドイッチするのは止めて、普通の日本のリード線に戻した。それが下の写真。
調整してみると、きちんと所望の周波数で出力される。これで一安心。音を出してみると、これが良い。
このようにして試作11号機はできあがった。このあと数週間エージングして完成、のはずだった。

この項続く。

試作12号 その1(水晶発振子 4個シリーズ接続)2020年11月12日 20時57分59秒

試作11号機のエージングが進んでいくと、最初はよいと思っていたのが、どうも気になる点が出てきた。もっとも問題となったのは、人の声、特にソプラノを聴くと歌声とともに妙な付帯音がつきまとっている。発振器になにか問題がある。

実を言うと、試作11号機はオシロスコープで波形は観測していたが、スペアナでは詳しく見ていなかった。
スペアナを持ち出して遅まきながら波形を観測すると、側帯波がはっきりと見えている。これはいけない。実を言うと、これまでの経験から、水晶発振子の数を増やすに従い、励振レベルが低くなり発振子の動作が理想に近づくと思い、側帯波はでないだろうと高をくくっていたのである。動作確認を怠ったつけが回ってきた。

それにしても、側帯波の影響がこんなふうに音に現れ判別できるとは、ある意味驚きである。

という経過をたどって、ここから試作12号機へと改版する。
目標仕様は以下の通りとする。
・側帯波は認められないこと。
・できる限り低歪みとすること。
・4個シリーズに見合う高いQとする。

この項続く。

試作12号 その2(水晶発振子 4個シリーズ接続)2020年11月12日 21時19分09秒

まずは励振レベルを低くして側帯波が出ないようにすることを第一目標とする。

そこでWE404Aの第二グリッドに接続しているR11(4.7KΩ)を27KΩに増やしてみた。
結果、アウト。発振はするけれどQが極端にブロードになって、45.1MHzが正常周波数のはずなのに、出てきたのは44MHz台。スペアナで見るとひどい波形で、最初はスペアナが壊れたかと思ったほど。

手痛い失敗ではあったが、収穫もあった。第二グリッドの抵抗を大きくするとQが小さくなる。ということは、ここは抵抗を入れるべきではないことになる。そこでR11を削除することにした。

しかし次なる問題が持ち上がる。どうやって励振レベルを下げれば良いのか。今まで使ってきた方法は使えない。新たな手段を探すことになる。

この項続く。