試作10号 その4(水晶発振子 3個シリーズ接続)2020年08月05日 21時47分32秒

水晶発振子が本領を発揮するまでかなり時間がかかると聞いたことがある。普通の部品のエージング時間は、およそ500時間と考えるのが一つの目安である。ところが水晶発振子は、それを超えても変化し続けている。落ち着くまで24時間連続稼働でも半年はかかるのかもしれない。

ただ待つのも芸がない。気になっているところに手を入れることにした。
B電源の整流素子である。これまではまず正常動作を第一目標に置いたので、手元にあったInfineonのSic SBDを使っていた。写真がそれ。
裏面はこうなっている。左側の赤い基板がGaNを使った理想ダイオードブリッジで、ヒーターの定電流回路を構成している。
SiCダイオードをはずして、新しく入れたのがGaN(GS66502B)をダイオード接続したもの。今回は変換基板を使わず、そのままユニバーサル基板に直付けした。消費電流が少ないので発熱を気にする必要がない。念のため非接触センサーで温度を測定してみたが、室温とほとんど変わらなかった。
回路図にするとこうなる。
音はどうなったか。
入れ替えてから3日経ったあたりはひどかった。何か間違ったかと思うほど低い周波数域がでないで、高い周波数域にエネルギーが偏る。これはいつものことなので気にしない。今日でちょうど1週間経った。だいぶ落ち着いてきた。

予想はしていたことだが、SiCダイオードから大きな変化があった。一層音が透明になり、生々しさが増しただけでなく、同じフェーダー位置であるのに、音のエネルギーが押し寄せるように感じる。
音楽のジャンルは問わない。YouTubeであろうがCDであろうが、ストリーミングであろうが、この効果は全く同様である。

交換前、低音が膨らんで鈍さを感じていて、こればスピーカーのせいであろうと思っていたのが、コントラバスの空間を波のように漂うかのような雰囲気まで表現できるようになった。これを聞いて、以前までの音がわずかに歪んでいたことに気がつく。

GaNを使う場合、変換基板が必須で、その点が敷居を高くしていた。今回のように変換基板無しでも実装できるとなれば、だいぶ使いやすくなる。