コンデンサマイクNEEWER NW-800を改造する2020年06月29日 10時54分24秒

ご案内
この記事に書かれていることは、改造後の動作を保証するものではありません。試される方は自分の責任で行っていただくようお願いします。だれも参考にする方はいないと思いますが、念のために書いておきます。

コロナ騒ぎで一つところに集まっての授業や会議ができなくなり、代わってこれらをオンラインで行うためにこの4月からあたふたと作業をしてきた。あれから数ヶ月経ち、いまではだいぶ慣れてきたが、その間いろいろ考えさせられた。

その一つがマイクである。一般にはiPad、iPhone、ノートPC もしくはWebカメラ付属のものを使うので、参加者の声の聞こえ方もいろいろである。Zoomにはノイズ抑制や自動音量調整の設定もあるので余計音が聞こえづらかったりする.

マイクだけ変えても限界があることはわかっているが、それでもなんとかしたいとオーディオ屋は考えた。ネットを覗くと、一昔前なら高価で手を出しづらかったコンデンサマイクが格安で売られている。改造記事まで出ている。これに飛びついた。NEEWER NW-800である。

届いたマイクを早速バラバラにする。それがこの写真。
写真には円形プラスチック(黒色)のマウントが見えるが、これは本当に「こけ脅かし」で、よく見ると小さな口径のエレクトレットコンデンサマイク・カプセルが外部からわからないよう巧妙にはめ込まれていた。さすがである。ただし、マイク基板はそれなりで手を抜いているわけではなさそう。とにかくおよそ2000円の価格でこの内容であることに驚くばかりである。

続いて肝心のマイクカプセル。例によってeBayから調達した。Neumannのような超高級マイクのカプセルは、目の玉が飛び出るほど高価であるが、その何十分の一の値段で手に入るのだからありがたいことである。
いまから数十年前のことである。K式アンプに心酔しきっていた時代、先生のお勧めに従ってDCマイクを作ったことがあった。カプセルはAKGのCK-1である。小遣いをためて、確かMJ誌の読者交換欄をとおして買った記憶がある。そのマイクは、妻のオルガン演奏を録音するために使ったきりで、専用電源のわずらわしさもあってその後出番がなくなり、結局オークションで嫁に出してしまった。
そのような経歴があるので、今回再びマイクに手を出してみると少し感慨深いものがある。

マイクカプセルをマイク本体に固定するのには、専用のマウンタが必要となる。マイク専用のDiy部品を売っているサイトでは、カプセルと一緒にマウンタも同梱されている。しかし中華製のマイクカプセルにはそのようなものはついてこない。
ここあたりのノウハウはネットの改造記事を参考にし、一カ所だけ自分なりの工夫をした。できあがってみるとそれなりの姿となって好ましいのだが、やはり専用マウンタがあればと思ってしまう。
次に肝心のマイクアンプ。専用電源などは使わないで、オーディオインターフェースのファントム電源(+48V)を利用するので、少し工夫がいる。このあたりはメーカー製アンプの回路図を参考にした。
当初、ネットにある改造記事を参考にしてエミッタフォロワなしのバージョンを試した。ところが思いっきり発振してそのままでは使えない。出力となるドレインに100Ωを入れたら安定したが、出てきた音は期待したほどでもなく、内心がっかりした。

ところがエミッタフォロワを入れてみると、動作は安定して不安感は全くないし、音も落ち着いて好ましい。これなら作った甲斐はあった。かつて苦労して作ったあのDCマイクはなんだったのかと拍子抜けするほど良い音である。

マイクカプセルの成極電圧はeBayに出品されていたときの説明に寄れば+48Vになっている。
しかしこの回路では+36.6Vとなって、定格より低い。おまけに信号が入ると電圧が変動する。音にどのように影響するか少し心配である。定電圧回路を入れるべきかもしれないがそれでは複雑になる。いろいろ考えてもらちがあかない。問題があればそのとき考えることにして、とにかく第一回目の試作を作ることを優先した。結論。出てきた音は非常に感度が良く、これで十分実用になることがわかり安心した。

試しに部屋の窓をあけて外の音を聴いていたら、50メートル以上離れている隣家の階段を上り下りする音が入ってきたのには驚いた。直接耳では聞こえてこない音である。

続いて実装の様子。マイクアンプの入力は1GΩという極めて高いインピーダンスになっているので、基板の絶縁抵抗があてにならない。DCマイクを作ったときに習ったように、SEコンデンサの絶縁抵抗を利用するために、このコンデンサを基板に接着して直接半田付けする。メーカー製のマイクアンプもそのような構造のようである。
そして裏面の様子。こちらには面実装のコンデンサ(ECHU)が見える。とにかく回路が単純なので作りやすい。こんな回路ですばらしい音が出るのだからたまらない。DCマイクの時代から隔世の感がある。
最後にできあがった様子。マイクを買うとショックマウンタが付属してくる。安っぽい金ぴかの装飾を除けば、プロ用マイクに見えてしまうところが面白い。

当初はオンライン会議用に使うことを目的に始めたこのプロジェクト。できあがってみると、期待していた以上にマイクの性能が良かったので、近々これを使って我がオーディオシステムの音をYouTubeに公開しようかとも考えている。
YouTube経由なので、どんなに録音が良くても(そもそもADCとクロックで音が変わる)そのまま音の様子が伝わるわけではないが、記録して残しておけることだけでも意味があるかもしれない。

試作10号 その4(水晶発振子 3個シリーズ接続)2020年06月29日 13時12分16秒

Laptech水晶発振子を使ったクロック発振器。どのような部品を使ったのか少しずつ解説していく。

まずは心臓部にあたる真空管はWE404Aを使った。
これを購入したときはパワーアンプの初段に使うことを考えていた。それが巡り巡って発振器に使うことになるとは。。とはいえ、もともとRF用の五極管なので発振器にはぴったりである。
アンプも真空管のメーカーによって音が違うのだから、当然ここに別のメーカー品を使えば、たとえ性能が同じでも音が変わるはずである。

続いて定電圧放電管であるWE427A。定格は100Vで、微量ながら放射性物質を含む。またスターター回路を必要とするところも特殊である。製造にも手間がかかっているし、回路に実装するときも他の定電圧放電管に比べ手間がかかるわけで、それでもこれが必要とされたのだから、もしかして軍事用であったのかもしれない。
真空管を収めた棚には生涯使い切れないほどストックがある。