試作9号 その22020年05月12日 23時01分16秒

試作8号の失敗に懲りて、最初にスペクトラムアナライザで波形を観測しておく。
側帯波はほぼなくなったかに見えるが、まだわずかに残っている。まだドライブレベルが大きいようだ。とりあえずこのままで音を聴いてみる。それはまた次の欄で。

試作9号 その3 (水晶発振子 3個シリーズ接続)2020年05月17日 20時48分49秒

前回掲載したスペアナの画像を見て、小さいとは言え側帯波が残っているのが気になる。水晶発振子のドライブレベルが適正でない証拠である。このまま納得するわけにはいかない。

その対策をどうするか。CとRの定数をいろいろいじってみた。結論から言えば、決定的な効果はなかった。むしろ発振が停止したり、発振しても不安定になったり、結局最初に決めた定数が最適値に近かったことがわかった。

すったもんだの末にたどり着いたのが次の回路図。
変更箇所は三カ所。
1)出力部のアッテネーターは削除した。
2)WE406のカソード抵抗を100Ωから330Ωに変更。
3)そして水晶発振子を3個シリーズにした。


測定結果は次の欄で。

試作9号 その4 (水晶発振子 3個シリーズ接続)2020年05月17日 21時34分03秒

変更した回路の発振波形がどうなったか。まずオシロスコープで観測。
表示では出力電圧が1.7Vp-pとなっているが、観測後に少し手を加えたので最終的には2.1Vp-pとなった。矩形波変換回路にLTC6957を使っているので、絶対定格の2Vp-p以下におさめたかったのだが少々オーバーしてしまった。何が起きても自己責任ということか。
とにかく私の目には美しい正弦波に見えるので、その点は満足。

次に中心周波数付近のスペアナ画像。
もくろみ通り側帯波はなくなり、美しい形になった。

高調波の様子を確認するために10MHzから300MHzをスイープする。
見ての通り、2次と3次は見えるが4次以上はノイズに埋もれている。以前の試作機ではずっと高い次数まで延々と続いていたので、その違いに驚く。

やはり水晶発振子を2個から3個に増やした効果は大きいようだ。おかげで調整が非常にシビアになった。トリマ(バリアブルコンデンサ)を慎重に回して同調点を探るのだが、スイートスポットが実に狭い。おまけに寄生容量の影響にも敏感で、トリマを回すために使ったBurnsの半固定抵抗調整用ドライバを近づけたり遠ざけたりしただけで発振振幅がガクンと変化してしまう。もっとも調整用ドライバの先に小さな金属片が着いているので、あたりまえと言えばあたりまえなのだが。

これを読んでいる方々の中には、いっそのこと4個シリーズにしたらどうかと想像する方もおられるだろう。もちろんそれも可能だろうと思うが、その前に実装方法をよほど考えておかないと調整で困難を極めることになるだろうと予想される。

試作9号 その5 (水晶発振子 3個シリーズ接続)2020年05月17日 22時08分49秒

実装の様子。画像の左下に3個の水晶発振子が見える。

肝心の音はどうか。
水晶発振子を2個から3個に増やしたところで変化はそれなりだろうと予想していた。だが、出てきた音は大きく変化している。今はエージング中なので客観的な判断は難しいという留保付きで、それでも言えることは、一つ一つの楽器が混濁することなくまるで目に見えるかのように「そこから」聞こえてくること。もうこれ以上何かすることが残っているのだろうか。そんな気持ちにさせられるほど。改めて「時間軸」の精度がどれほど大きな影響を与えるのかを思い知らされる。