試作7号 GaNを使ってみたが失敗2020年03月20日 17時52分16秒

試作6号がうまくいった勢いに乗って、GaN(GS66502B)を使ったらどうなるか試してみた。

なにしろ回路が単純なので組み立てるのはそれほど難しくない。大昔に熱中したプラモデルを思い出す。
回路は以下のようになった。シミュレーションによれば、直流ではうまく動作するはず。
次に基板の様子。まずは上から。
次に裏面。GaNが小さくて見にくいため矢印で示した。変換基板などは使わずに直付けである。
と、ここまでは順調だった。
ところが、電源を入れてみると、バイアス部分は流れるのだが、GaNのD-S間に電流が流れない。??全く理由がわからないまま一晩おいて再度挑戦。

水晶発振子をつけない状態でオシロスコープで観察しながら、下側GaNのG(ゲート)電圧を徐々に上げ行く。そうするとある点でいきなり電流が流れ始めた。ところがオシロスコープを見ると異常発振しているではないか。いろいろ手を尽くしてみたが動作が安定せず、思うようにコントロールできない。結局、GaNでは発振器を構成するのは難しいとの結論になった。

今回使ったGaNはパワーアンプの終段にも使えるほど大電流を流せるタイプなので、用途が違いすぎたのかもしれない。将来、小信号用のGaN素子ができたら再挑戦したいものである。

ところで試作8号はあるのか?ただいま構想中で、もう少し具体化したら発表するかもしれない。

コメント

_ Bunpei ― 2020年03月21日 21時50分10秒

それは残念でした!
ところで、今回の条件ではGaN素子に流れる電流はどれくらいと見積もられるのでしょうか?

_ Kon ― 2020年03月30日 20時35分07秒

バイポーラトランジスタであれば5~10mA程度に設定するのが普通でしょう。GaNの場合は、なりゆきで20mA程度になりました。

予想していたことですが、電流を流すと発熱によって温度が上がり、そのため急激に電流が減少するという現象が発生します。電源スイッチオン直後は大きな電流が流れ、数秒間で定常状態に落ち着きます。

_ Bunpei ― 2020年04月12日 21時17分00秒

ご回答をありがとうございます!
そんなに大きな電流でもないし、小さな電流でもないのですね。
外野席からの素人の老婆心の釈迦に説法で申し訳ございません。
NPNトランジスタの場合、C-E間の逆耐圧の範囲であればBの状態のいかんにかかわらず、逆電圧がかかってたとしても漏れ電流程度が流れるだけと教科書を読んで理解したつもりです。一方GaN HEMTの場合、G電圧によっては逆電圧でS-Dへ電流が流れますよね。ここにNPNトランジスターとGaN HEMTの違いがあると思うのですが、この違いがうまく動作しない原因になっている可能性はないでしょうか?

_ S ― 2020年07月07日 21時07分09秒

はじめまして。

真空管を使った発振回路は音が違うというお話はとても興味深かったです。
常時通電のOCXOだと、年に一回は球の交換が必要になるのでしょうか?

電圧の高さやそれを考えると、GaN MOSFETにも興味があるのですが、実物は動作しなかったのですね。

EPC2038は、入力容量が7pFと、小信号用のトランジスタ並みですが、私の発振回路に関する知識が乏しいため、こちらの試作6、7号機の回路でシミュレーションしても綺麗に発振してくれませんでした。
Konさんなら上手くいくかもしれません。

モデルは、こちらのzipを展開して、.asyのValueにEPC2038に変更したものを使いました。
https://epc-co.com/epc/jp/%E8%A3%BD%E5%93%81/eGaNFET%E3%81%A8IC/EPC2038.aspx

EPC2038は、50円高くなってしまいますが、マルツからでも1個170円で購入できるようです。

_ Kon ― 2020年07月10日 20時06分01秒

Sさん、はじめまして。
興味を持っていただきありがとうございます。

タマのことですが、データシートには規定がないので、特に長寿命というわけではなさそうですから、年一回程度の交換は覚悟しています。

GanSystemのGaNがうまく動かなかった理由は、どうやら寄生発振が関係しているようで、いくつか対策を試みたのですが、今度は発進停止になり、断念することになりました。

EP2038のデータシートを見る限り、はこちらのほうが発振回路に向いているように見えます。ただダイチップのようですから、実装には一工夫が必要のようですね。

あとでシミュレーションに挑戦してみます。
情報を提供していただき、ありがとうございます。

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