Circlotron3 考察編2019年08月15日 17時18分56秒

手を入れる前と後で誰が聞いてもわかるほどの大きな変化があった。変化することはわかっていたつもりだが、まさかこれほどとは予想していなかった。いままで見落としていたなにかがあると考えるのは当然であろう

ヒーターの定電流点火とGaNのG-S間抵抗のVAR化を同時におこなったのだから、変化の原因はこのどちらか、またはこの両方と考えることができる。あるいはもう一つの原因としてヒーター電源のトランスを独立させたことも可能性として捨てることはできないだろう。どれが主要な原因であるかを確かめるためには、さらなる実験が必要となる。

とりあえず思考実験として、変化をもたらした原因がVAR化にあると仮説を立ててみる。まったく根拠のない話ではない。2.2KΩVARが届く前に、1KΩVARと1.2KΩ進抵抗を直列接続して音出ししたのだが、これによってWE420Aの動作条件がより望ましい方向に変化したにもかかわらず、明らかに進抵抗の影響が感じられ、満足とはほど遠い音しか出なかった。
出てはならない音が出ているというのではなく、出なければならない音が出ていない。百人の合唱隊がいたならおよそ三十人が欠けている。音は聞こえても、心を揺すぶる大切なものが消えている。比べるものがなければ、こんなものかと納得してしまっていただろう。しかしVAR化した音を聴いて初めて、あのとき足りなかったものが何かに気がつく。

抵抗が音を悪くすることは以前から気がついてた。しかしこれほどの影響があるとまではわかっていなかった。

もしこれが正しければ、次のようなことが言えるのではないか。
トランスを多用する佐久間式アンプがある人々を魅了している事実。あるいは、「アンプ親父の製作記」の管理人さんがどんどん古典スタイルのアンプに戻り、とうとうトランスを自分で巻くまでに至るあの情熱。このような現象について従来、「トランスを使ったアンプは音が良いのだ」と説明がなされてきた。しかしこの説明は単純すぎて、重要な点を見落としているのではないか。トランスが良い音を出しているのではなく、トランスを使うことで音の悪い抵抗を少なくできる。なので結果的に良い音になる。そのように言うこともできるのではないのか。

このことは半導体式アンプについても敷衍できる。「真空管アンプは音が良く、半導体を使ったアンプは音が悪い。」巷間でよく言われるこの表現も、正しくは次のように修正すべきかもしれない。「確かに半導体の中には音の悪いものがある。しかし半導体のすべてが音が悪いとも言えない。もし音が悪く聞こえるならば、それはもしかして半導体アンプで多数使われている抵抗が原因かもしれない。」

この仮説が正しいのかどうか。そのことを証明するために、次の実験としてDynaco MK3のトランスと用いたKT88ppアンプを予定している。すでに回路は固まっていて、あとは涼しくなるのを待つだけである。