DuCULoN®のためのTaylor型レギュレータ(調整編)2018年09月01日 22時04分50秒

この一週間、調整に費やした。当初は、高域特性が優れているが故に、シミュレーションに反映されていない寄生容量やパターンの影響を受けやすく、発振に見舞われ、その対策に奔走した。

数々のトラブルを乗り越えるうちに、だんだん勘所がつかめるようになったので、失敗もよい経験になる.

やっと昨夜、安定して出力されることを確認したので、DuCULoNと接続した。
オシロスコープの測定には本来ならアクティブ・プローブを使うべきだろうが、高価で手が出ない。一応帯域は400MHzのものを使っている。オシロスコープ本体の帯域は1GHzまであるから不足はない。
驚いたことに、電源ピンにバイパスコンデンサをなにも接続していないのにスパイクノイズがまったく見られない。(追記 この箇所を訂正します。9月4日の記事に書いたとおり、ノイズは観測されています)もちろん出力波形は安定している。メーカーのデータシートによれば、10uFをつなぐように指示されている。このあたりはもう少し追い込む必要があるかもしれない。
当初の目標通りに、立ち上がり時に約800mA流れてもレギュレーターは少々電圧が下がるが問題なく動作し続ける。数分経過すれば安定して何事もなかったかのようにレギュレータの機能を維持する。

回路図の説明を少々。
・スタートアップ回路をいろいろ工夫した結果、あっけないほど簡単になった。
・右下の部分を点線で囲っているのは、発振器の直近に制御素子であるGaNを配置しているという意味。普通は、レギュレータ出力から相手先に長い配線で結ぶことになるから、レギュレータとして性能は低下する。直近に制御素子があることは大きなメリットである。
・レギュレータ全体のゲインをあまり高くしないことにし、その代わり位相回転をオーディオ帯域で極力小さくなることを優先した。これが音にどの程度影響するかは音出しするまでわからない。

なお、シミュレーションの結果は、あくまで机上の計算に過ぎず、電気的に矛盾なく動作することを確認する程度と思った方が良い。何度も言うが、部品配置やパターンの違いで結果はコロコロ変わる。このあたりは高周波屋さんの領域になる。

これでやっとDACに接続する環境が整ってきた。
と、思ったら本日自転車で転倒。幸い自転車は壊れず、右腕右足の擦り傷で終わったが、右肩が痛い。しばらく半田ごては握れない予感がする。その間、エージングを進めることにしよう。