ヒーター定電流回路にGaNを投入する2018年08月16日 22時25分26秒

13D2ラインアンプのヒーター電源において、整流ダイオードをInfineonのSICSBDからGS61004Bを使った理想ダイオードブリッジに入れ替えて大きな効果があることを確認した。

そうなると人間とは欲が深いものである。13D2のヒーター定電流回路が気になりだした。ここに使っているIRF610をGS61004Bにしたらどんな音になるだろうか。考えただけでも胸が高鳴る(まるで高校生である)。

とは言いながら、7日から歯が痛み出して絶不調状態。半田ごてを握るどころか、痛みをこらえるのに精一杯でそれどころではない。あまりの痛さに我慢しきれなくなって妻から鎮痛剤をもらって飲んでみるとこれがよく効く。ということで、痛み止めを飲みながら作業することにした。

まずは回路である。シミュレーションをかけて不具合がないか確認。。。したつもりだったが、見落としがあった。仮設で動作確認しようとしたら出力が出ない。結局GS間の電圧がIRF610よりも低くなったために、電圧余裕がなくなったことが原因。一部修正して乗り越えた。加えてもうひとつ。出力コンデンサを近傍に配置しないと発振しやすくなった。これも対策。

できあがった回路がこれ。ただし、起動回路がなくても立ち上がるので、実際はD2, D3, D4は不要である。
変更する前の様子。なんどもシャーシに手を加えてきたので、配置が最適化されていない。電解コンデンサの直下に熱くなるMOS-FETを置くなどもってのほかである。

アルミ基板に半田付けしたGS61004Bの状態。Sからジャンパーが飛んでいるのは、TVSダイオードをつけたため。GaNは一般のMOS-FETに比べてVgs耐圧が低いので、厳重に対策しておく必要がある。
SiCSBDやチョークトランスを取り去った空き地に、まるであつらえたようにちょうどよく新しく作り直した基板がおさまった。
GS61004B基板はシャーシに固定して放熱する。指で触れてみるとほとんど熱さを感じない。写真の下の方に理想ダイオードブリッジが見える。
さて、肝心の音はどうなったか。変化するだろうことは予想していた。しかし、その変わりようがあまりも大きかったので、出てきた音を聴いて最初は戸惑った。自分が手を加えてこうなったということが、頭の中でつながらない。下世話な言い方をすれば、「今まで使っていたものよりも一桁高価なアンプに入れ替えたような」違いである。
最も大きな変化は低音域に感じた。どんどん低い音が出てくる。いわゆるブーストした音とは違う。というのは、もしブーストされた音なら必ずスピーカーネットワークのバランスを再調整しなければならなくなるはずだが、そういう必要をいっさい感じない。この音は、エネルギーが高まったというのか、あるいは密度がぎっしりとつまってきたと言うのがふさわしいのだろうか。
あえてマイナス面を語ればエージング不足のため統一感に乏しく、荒削りという印象。しかしこれは時間の問題。

ヒーターの定電流回路ひとつでここまで音が変わってよいのだろうか。とまどいは今でも続いている。とは言え、「栴檀は双葉より芳し」とことわざにあるように、将来大物になることは確かであろう。

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