CirclotronにGaNダイオードを投入する(失敗編)2018年05月05日 22時18分06秒

写真は、GaNアッセンブリに入れ替えたところ。
さて、緊張のスイッチオン。次の瞬間、バチッという音ともに煙が上がった。すぐにスイッチを切った。いやなにおいが部屋に漂う。一体何が起きたのか、こういうことは今まで何度も経験してきたが実にいやなものである。

まず考えたのが、アルミ基板への半田付け作業に手落ちがあって、内部でショートしたか?すぐに新しいのに交換。ところがスイッチを入れると、また別のところから煙が上がった。こうやって結局5個を壊してしまった。写真に写っているのは、その屍である。
ここに至ってようやくこれは別のところに原因があると気がついた。しかし、まったく思い当たるところががない。困った。こういうときは頭を冷やして考えるしかない。

これまでGaNを整流ダイオードに使って、このようなトラブルは起きなかった。ということは、今回だけの特殊な事情があるはずだ。それは何か。少なくとも二つある。これまで使ってきたのはGS66502Bで、耐圧は650Vである。いっぽう、GS61004Bは100V。そこがまず一点。それからもう一つ。これまではすべてコンデンサ入力タイプだったが、今回はチョーク入力タイプである。しかしこれが原因であるとは初めはまったく半信半疑であった.

もう一つ疑わしいのは、電解コンデンサの容量が大きすぎてラッシュカレントが素子の定格を超えて流れている可能性。こちらのほうは、別途試験装置を作ってテストしてみたが問題がなく、結局シロとなった。


そこでシミュレーションの出番となる。GaNのドレイン端子の波形を見ると、スイッチオンから数波経過したところから、異常発振が起きる。入力の波高値がピークで30Vのとき、ドレイン端子の電圧は50Vを超す。これは理想状態での計算だから、現実はもっと厳しいはずである。GS61004Bの耐圧を超える可能性は十分にある。となると、対策はチョークコイルを外すしかない。音への影響が気がかりではあるが、まずは安全に動作することが優先である。背に腹はかえられない。ここまで至るのに2日ほどかかった。
この結果については次のコラムで。

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