CirclotronにGaNダイオードを投入する(準備編)2018年05月05日 21時41分34秒

FusionPCBに注文しておいたアルミ基板は数週間前に届いていた。
実を言うとデータを相手先に送った翌日、問い合わせのメールが来ていた。「基板の角の処理なんだけど、図面を見ると直角の線とラウンド線の両方があって、どっちが正しいの?」という内容。なるほど言われてみるとそうだった。「すまん。丸くなっている方の線で処理をお願い」と返事したらすぐに作業に取りかかってくれた。なかなか好感の持てる応対だった。

封を開けて検品。問題なし。続けて本命のGS61004BをMouserに発注。数量は30個。これも一週間程度で届いた。


さてこれをどう使うか。今回のターゲットはCirclotronの整流ダイオードである。回路図で丸く囲った箇所。現在はInfineonの第5世代IDH16G65C5。これをGS61004Bに入れ替える。
まずアルミ基板への半田付け作業にかかる。ここでちょっと手こずった。ソースのパッドに半田ごてを当てて熱しながらGS61004Bをスライドさせ、所定位置に来たら半田ごてを離す。という段取りだったが、これがうまくいかない。半田ごてに温度を最高に上げても、すぐに半田が固まってしまうらしく、スライドできない。長時間無理矢理に半田ごてを当てたら、8個のうち2個が動作不良になってしまった。後からわかったのだが、素子をパッドの所定位置にテープで仮止めして、素子の脇に半田ごてを当てながら半田を流すのが一番確実で安全なようだ。

このようにして8個そろったところで、アンプを開腹して整流ダイオード・アッセンブリをを取り出し、GaNに入れ替えていく。この後予想外のトラブルに遭遇するのが、そのことはまた次のコラムで。

CirclotronにGaNダイオードを投入する(失敗編)2018年05月05日 22時18分06秒

写真は、GaNアッセンブリに入れ替えたところ。
さて、緊張のスイッチオン。次の瞬間、バチッという音ともに煙が上がった。すぐにスイッチを切った。いやなにおいが部屋に漂う。一体何が起きたのか、こういうことは今まで何度も経験してきたが実にいやなものである。

まず考えたのが、アルミ基板への半田付け作業に手落ちがあって、内部でショートしたか?すぐに新しいのに交換。ところがスイッチを入れると、また別のところから煙が上がった。こうやって結局5個を壊してしまった。写真に写っているのは、その屍である。
ここに至ってようやくこれは別のところに原因があると気がついた。しかし、まったく思い当たるところががない。困った。こういうときは頭を冷やして考えるしかない。

これまでGaNを整流ダイオードに使って、このようなトラブルは起きなかった。ということは、今回だけの特殊な事情があるはずだ。それは何か。少なくとも二つある。これまで使ってきたのはGS66502Bで、耐圧は650Vである。いっぽう、GS61004Bは100V。そこがまず一点。それからもう一つ。これまではすべてコンデンサ入力タイプだったが、今回はチョーク入力タイプである。しかしこれが原因であるとは初めはまったく半信半疑であった.

もう一つ疑わしいのは、電解コンデンサの容量が大きすぎてラッシュカレントが素子の定格を超えて流れている可能性。こちらのほうは、別途試験装置を作ってテストしてみたが問題がなく、結局シロとなった。


そこでシミュレーションの出番となる。GaNのドレイン端子の波形を見ると、スイッチオンから数波経過したところから、異常発振が起きる。入力の波高値がピークで30Vのとき、ドレイン端子の電圧は50Vを超す。これは理想状態での計算だから、現実はもっと厳しいはずである。GS61004Bの耐圧を超える可能性は十分にある。となると、対策はチョークコイルを外すしかない。音への影響が気がかりではあるが、まずは安全に動作することが優先である。背に腹はかえられない。ここまで至るのに2日ほどかかった。
この結果については次のコラムで。

CirclotronにGaNダイオードを投入する(成功編)2018年05月05日 23時02分22秒

うんうん悩んで対策をする。そしてスイッチオンの瞬間。たまらない緊張感である。何事もなかったかのように正常動作する。やっと安心。
ということで最終回路は次のようになった。
実装の様子。
最初の音出しは、YouTubeにあった小津監督の「秋日和」の冒頭。台詞を聞いた瞬間から、音の違いは明らかだった。詳細は、まだエージングが足りないので、もう少し時間がたってから報告する予定。