Panasonic VP-7723A その52017年12月18日 18時02分29秒

74HC138が届いたので交換した。
結果。現象変わらず。敗退orz

それでも収穫はあった。HC138からきちんとデコードされた信号が出力されることを確認。一歩は前進した。

症状の確認
測定値はAC測定で200V、DC測定で-200V、ひずみ率測定で31.62%を表示する。周波数カウントは正常に動作している。ファンクションスイッチは正常に機能している模様。

そして今回判明したこと。MONITOR OUTPUTに信号が来ていない。以前は確かに来ていたのに。ここに信号が来なければ、当然正常な測定はできない。

頭を冷やして、もう一度考え直してみよう。
そもそもSRAMとバックアップ電池を交換した時点で、測定値の表示がおかしくなったわけだから、そこに何らかの因果関係があると考えなければならない。いままでそのことを脇においてきたのだが、逃げることはできない。

このアナライザの故障は、大きく分けて二つの原因から構成されていると考えるべきではないのか。
(1) アナログ系 :すなわちADCの周囲で、NJM311や74HC138がそれにあたる。故障の原因は、おそらく電解コンデンサの液漏れによるパターン腐食、断線、および素子自体が劣化したことによるものと推定される。

(2)デジタル系 :すなわちロジック回路で、具体的にはSRAMの周辺。素子は破壊されていなかったと思われるが、パターンがどこかで劣化、破断している可能性が捨てきれない。故障の原因は、バックアップ電池の劣化による液漏れと推定される。
デジタル系のロジックが誤動作することにより、MONITOR OUTPUTに信号が出力されず、それに続くADCへの信号も出力されない。信号が反転されているなら、入力ゼロで測定値がMAX値を表示するのは別におかしいことではない。

前回、SRAM周辺のパターンをチェックしたつもりだったが、どこかに抜けがあるのかもしれない。振り出しに戻る。

この項、だらだらと続く。

Panasonic VP-7723A その62017年12月20日 21時11分48秒

前回、故障の原因が大きく分類してアナログ系とデジタル系の二つあるのではないかと述べた。しかしよく考えると、測定値を表示しない以外は制御は正常である。ロジックが誤動作しているならば、さまざまな不具合現象が出るのが自然であろう。

もしかしてデジタル系は問題がなくて、アナログ系に不具合がまだあるのではないか。これまでNJM311と74HC138の故障を見つけて新しいものに交換し、正常に復帰していることを確認した。加えて念のため2個のNJU201ADも交換しておいた。しかし、まだなにかが壊れているのかもしれない。パターンはしつこく確認したので、残るは素子の故障を疑うことになる。

刑事ドラマで「現場百遍」という言葉があった。そこで予断を捨てて基板を観察する。
そうすると74HC14に目がとまる。オシロでロジックがうまく動作しているか確認する。このICはフォトカプラを介してデジタル系とアナログ系を橋渡しする役割を担っている。3回路のうち2回路はADCのクロックとトリガ信号のように見える。

74HC14はシュミットトリガインバータだから、論理は単純反転である。ところが。。。3回路とも、論理どおりに動いていない!おまけにICが熱いではないか。故障発見。こいつもいかれていた。

故障の範囲は予想よりも広かった。なぜここまで壊れるのか、まったくもって不可解。ADC本体が壊れていないことを祈るばかりだ。

Panasonic VP-7723A その7 修理完了2017年12月23日 21時43分01秒

74HC14が届いたので早速交換した。
写真は故障したものをはずした状態。念のために隠れているパターンを記録しておく。

これまで何度も裏切られてきたので、期待半分、諦め半分、なんとも複雑な思いをかかえながら電源を入れる。

結果。無事に測定値が表示されるようになった。内臓発振器の出力を直接入力して歪率を測定した様子が写真。仕様では80KHzのフィルターをかけた場合、 20〜15KHzの範囲で0.001%以下となている。実機では、フィルターを掛けない状態でも0.00077%となっていて仕様を満たしている。
ADコンバーターが壊れていなかったことは、不幸中の騒いであった。これが壊れていたら代替部品の入手は難しく、完全なお手上げになっていた。
ちょうどこの時期、よいクリスマスプレゼントになった。今夜はぐっすり寝られそうだ。
総括するとこうなる。
・手に入れたアナライザーはデジタル回路には大きな不具合がなかった。ネット情報を鵜呑みにしてSRAMを交換したが、よく考えればお粗末な対応だった。そもそも、オークション出品時の説明では「歪率以外の測定ができる」との説明だったのだから、その時点でデジタル回路は問題なしと判断すべきだった。

・故障していたのは以下の部品
NJM311
74HC138
74HC14
・パターン切れが一箇所
・経年変化で劣化していた部品
バックアップ電池
電解コンデンサも劣化していたようだが、前オーナーが全て交換してくれていた。
・故障はすべてアナログ<ー>デジタルの橋渡し部分に集中していた。

オーディオアナライザーの修理は初めての経験で、だいぶ手こずったが、終わってみるといろいろなことを学ぶことができた。
特にデジタルとアナログの共存回路で、精密測定機能をどのように実現するのか、設計屋の苦労が伝わってくるようで、おおいに興味をひいた。ポイントは、フォトカプラを使って徹底的にデジアナを分離すること。これはDAコンバーターの設計に大いに役立てることができる。

オークションでは、同種のアナライザーが大量に放出されていて、落札された方はおそらく同じような苦労を経験するはず。故障診断のポイントを幾つか。
7セグLEDになにも表示されない場合は、CPU周りの故障が疑われる。
歪率が測定できない症状は、NJM311の故障が疑われる。
200Vとか-200Vを表示する症状の場合は、74HC138もしくは74HC14の故障を疑う。
厄介なのは故障の原因が二つ以上ある場合で、古い機種ではしばしば経験する。あわてず騒がずじっくりと腰を据えて、細かな記録を残しながらあたるしかない。

この勢いに乗って、机の中にあった部品で先日作り上げたアンバランス->バランス変換アンプの歪率を測ってみた。0.03%もあってこのままではどうも具合が悪い。作り直しになりそうだ。

不平衡・平衡コンバーター歪率2017年12月25日 16時51分04秒

LF356で作ったコンバーターの歪率を測定してみた。
前回、歪率が悪いような話をしたが、改めて測ってみるときちんと動いている様子がわかってきた。

10KHzの歪率が入力電圧-10dB以上で悪化していくのは、LF356を理想的な状態で使っていないためかもしれない。

【測定条件】
測定器 VP-7723A
歪率は80KHz LPFをONにして測定

【コンバーターの性能】
周波数特性 17Hz〜500KHz以上 ただし100KHzを超えていくと歪率はかなり悪化するので実用に適さない。
利得 6.54dB
10KHzの矩形波は全く問題なく出力される。

Circlotronの歪率を測定する2017年12月28日 20時55分29秒

VP-7723Aの扱いにも慣れてきたので、Circlotronの歪率を測定してみた。

【測定条件】
測定器:VP-7723A
負荷:8Ω
LPF:80KHzをON

【総評】
0.1W以下で歪率が上昇するのは、信号入力に使っている不平衡・平衡コンバータの歪率が顕在化するためと推測される。
1KHzと10KHzの特性が揃っているのと、出力増加に伴う歪率の変化も素直であることから、回路には問題がないと思われる。ただし、100Hzだけが全出力帯域にわたって他の周波数に比べて若干悪いのが気になる。
2.5Wで歪率が1%を超えているのは、アイドリング電流が少ないためである。これを増やせば全体に歪率が改善されることがわかっている。

【今後の課題】
ウーハーは416-8Bを並列で使っていて負荷は4Ωとなる。このため実際のは歪率はこのグラフよりも悪化する。次回作の改善ポイントとする。