Dynaco MK3の改造(11)2017年09月19日 19時37分36秒

最初は大いに感動した改造版であったが、時間が経つにつれだんだん欠点も見えてきた。

雄大なのはいいのだが、繊細さに少々かけていて「大味」という印象が拭えない。加えて、低音が緩み加減で、細かな音階が聞こえてこない。なにかがまだ不十分なのだろう。

こんなとき、やみくもにカットアンドトライしても、真空管アンプの経験が浅い者には徒労で終わる可能性が高い。先人たちの汗水たらした成果から謙虚に学ぶことが一番確実である。

しかし、世の中にはいろいろな回路が出回っていて、目移りするばかり。どれが本物か、見分けが難しい。迷った末に目をつけたのがCurcio Audio Engineeringである。MK3のアップグレード・キットを販売している小さな(多分)会社である。セールストークによれば、様々な回路を長年検討してきたとある。また購入者のコメントも載せてあって、それなりの自信があると見た。
幸いなことに回路を公開してくれている。これを参考にさせていただいて、初段をもう一度作り直すことにした。

Dynaco MK3の改造(12)2017年09月19日 20時08分10秒

CAEのデザインを参考にしてアレンジしたのが掲載の回路。
位相反転段を省略して初段と終段はRC結合となっている。

これまでは、三結、無帰還を特徴していたのが、こんどはUL接続、高帰還アンプとなった。シミュレーションでは、歪率などで大きな改善がみられるようだが、さて実機ではどうなるか。

昨日、外に出した電源トランスを載せるための板を目的のサイズに切り出し、サンダーでヤスリがけした。板厚は30mmあって、木工店を営む知り合いからただ譲っていただいたもの。ストーブで燃やすつもりだったという楓材の端切れ。手動ノコできれいに仕上げる自信がないので、わざわざ電動ノコまで買った。これは便利。

まずは現在のアンプを解体するところから作業が始まる。完成するまでの間、サークロトロン・アンプに戻す。

戻して驚いた。思いのほか良い。
Dynacoがすばらしいと言っておきながら、その欠点が目立つようになると、サークロトロンの良さが引き立ってくる。とにかく細かな音がよく出て、解像度抜群。Dynacoに負けずきちんと音が前に出てくるところも良い。ただし欠点があって、妙な響きがつきまとい、明らかに初段が理想動作をしていないのが気にかかる。初段をWE420Aにすればかなり歪率が改善することがシミュレーションでわかっている。Dynacoが一段落したら、次はそこに手をつける予定。

電源トランスを外に出すのは、第一にトランスのうなりと振動を抑えることが目的だった。よく考えてみると、外出し電源はDynacoアンプだけではなく、他にも使い回しができるということであって、300Bシングルアンプにはもったいないほどの容量があり、うってつけではないか。
そうなると、300Bシングルへの道程は容易なものとなるだろう。サークロトロンの次の目標となる。