設計方針を考える2016年09月26日 19時08分40秒

91Bをモデルにした製作記事をあれこれ読んでいくうちに、自分はいったい何を目指しているのかが問われていることに気がついた。

完璧な91Bのコピーを目指すことは資金的にも絶対に不可能。では、代替部品を使って限りなくオリジナルに近づくのを目標とするのか。しかしWEの真空管を使わない(使えない)という時点ですでにこれも破綻している。WEでなければ絶対に出ない音があることは先輩たちが口を酸っぱくして力説しているではないか。

ではいったい何を目指せばよいのか。しばし考えた。そして次のような方針で行こうと決めた。

1)回路は91Bを範とするが完全なコピーにこだわらない。
2)ただし、91Bのエッセンスと思われる部分は出来る限り保存する。
3)いっぽうオリジナルのアイデアも盛り込む。
4)先人のアイデアを借用しながらコストを抑制する。

プアマンは無い知恵を絞りながら、なんとか高嶺を目指していくしかない。


では、保存すべき91Bのエッセンスとは何か。今回は次のとおりとする。

1)初段に五極管を使う。

2)初段のプレート抵抗は100KΩ前後とする。

3)初段のスクリーン・グリッドの電圧のかけ方は91Bを範とする。

91Bとは異なるオリジナルなアイデアは次のとおり。

1)300Bは固定バイアスとする。
これは諸先輩からはおしかりの声が聞こえそうだ。でも、真空管は固定バイアスで使う時、もっとも性能を発揮するのではないかとの経験則が身についてしまったので、これにこだわりたい。

2)初段と300Bは直結とする。
これも、「大丈夫か」と不安視する声が聞こえそう。でもやるからには独自のアイデアで勝負したいとの思いがある。もちろん、バイアスが不安定になって300Bが壊れるようなことはあってはならない。遅延回路や保護装置は必須となる。

3)極力シンプルな回路を目指す。

4)半導体を一部に使用する。
これも一部の方にはブーイングものだろう。
整流管は使用せず、InfineonのSiC BSDを使う。
初段管のプレート負荷は定電流負荷とし、これもMOS-FETを使う予定。

と、大口をたたいたが、そのうち「前言撤回」したり、迷走して仕様変更することは十分有り得る。

初段管の選定2016年09月26日 19時42分36秒

91Bの初段管はWE310Aもしくは348Aと決まっている。しかしすでに市場からは枯渇してしまった。あったとしても手が出せるような価格ではない。

当然、代替品を探すことになる。
ちょうど、無線と実験99年1月号に松並希活氏がこのことに関して詳細な報告を書いておられる。氏曰く。「EF37が一番相性が良さそうで、特にマラード製が中低域の張りと明るさがあり、私の感じではベストと思います。」

当初、手持ちにあるWE404Aを初段に使うことも考えた。ところが松並先生の他の記事(MJ90年3月号)の中に、余裕を持って鳴らすST管に比べると404Aは精一杯頑張っているという印象があって、今ひとつだったという趣旨が書かれてあった(私なりの要約)のであきらめることにした。

その後、EF37にもいろいろ類似管があることを知り、結局すったもんだの挙句 MullardのCV358(白塗り)を使うことに決めた。