真空管ヒーター 定電流点火回路の考察(12)2016年02月08日 15時40分52秒

さて、あれからどうなったか。エージングを重ねるうちに音がかたいことと、音が前に出てこないことが気になるようになってきた。これはなにかがおかしい。

いつものことだが、おざなりにしていたところが結局足を引っ張ることになる。ふたつの不具合点が見つかった。

(1)電源電圧が低いこと、(2)WE412Aのヒーター電流が過少であった、この2点である。

(1)電源について
13D2のヒーターだけをまかなっていたときは、まだなんとか余裕があったのだが、WE412Aのヒーター電流が加わったため、電源電圧が低下した。それでも定電流回路としては正常に動作する。しかし音の面から言うと問題があった。

制御MOS-FETのドレイン・ソース間電圧が低すぎると、音がかたくなることはこれまでしばしば経験してきた。原因はおそらくこれである。

ではどのようにして適正電圧に上げるか。電源トランスに適当な巻線が残っていないという理由で、これまでこの問題を棚上げにしてきた経緯がある。

うーんと考えた。その結果は回路図に示した。従前は6.3V+8VACの巻線を使っていた。トランスには6.3V/1Aの巻線が使われずにある。しかしこのままでは使えない。制限電流をオーバーするからである。

そこで、2段重ねで行くことにした。WE412Aには従来通りにし、13D2のヒーター電流にはその上に6.3V/1Aの電圧を重ねる。こすうれば、MOS-FETドレイン・ソース間電圧が10Vになり、理想状態になる。

ただひとつ注意点がある。動作時は問題ないのだが、電源をオフにすると、13300uFの電解コンデンサと22000uFの電解コンデンサの間でエネルギー差が生じて、13000uFに逆電圧が掛かってしまう。これを防止するのがD17である。

(2)WE412Aのヒーター電流
仕様では1Aとなっているので、当初そのように設定した。しかし、定常状態に達した時のヒーター電圧は5.3Vであった。電流値優先で考えてきたが、これはなにがなんでもおかしい。音が前に出てこないのはこれが原因であろう。

そこで規定の6.3Vになるようにヒーター電流を調整した。1.23Aのときに規定値になった。
WE412Aのヒーターを観察すると、素人目にも従前よりも明るくなっているのがわかる。これでは音も違うはずである。

結果は次の欄で。

なお、回路図のダイオードの記号がツェナーとなっているのは単純なミス。実機ではCREE SiC SBDを使っている。
また、回路図ではMOS-FETがRD06HHF1となっているが、現状ではIRF610を使っている。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://john.asablo.jp/blog/2016/02/08/8011260/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。