13D2 ラインアンプにフェーダーを接続する2013年12月09日 21時07分58秒

 ラインアンプの完成度もだいぶ上がってきた。こうなると音量調節機能のことが気になってくる。これまで、ES9018のデジタルボリュームを使ってきて、特に不満のようなものは感じなかった。さりとて、これでなければという思いも感じない。すこぶる便利なので利用してきたというのが本音。

 しかし、ジャンク箱にはドイツのフェーダーが眠っている。いつかこれをもう一度活躍させたいという思いは以前からずっとあった。でも、それには専用のフェーダーボックスを用意しなければならず、それがネックになってなかなか踏ん切りがつかないでいた。でも専用箱を作る前に、とにかくどれほどの効果があるのか、バラックでもよいから確かめるのが先ではないかと思い直し、昨夜、エイやと組み立てた。

 NP-126の終端抵抗としていたVishay VARをはずし、いかにもビンテージと呼ばれるフェーダーに入れ替えるのだから、もしかして音は悪い方向に変化するのではという不安もあった。

 でも音を出してみると、大きく予想を裏切られた。
 フェーダーひとつでこんなに音が変わるのかと驚く。これまでなんとなく生命感が希薄なのが気になっていた。もしかして、これがラインアンプの限界なのだろうかと疑っていた。ところが、MR90を入れると、恐ろしく音が前にせり出すとともに、空間が三次元方向にぐっと拡大される。とにかく音に命が宿っていて、聞く楽しさが増してくる。音にならないような空気の波動が体に押し寄せてくるのが心地よい。今まで到達できなかった世界に軽々と足を踏み入れてしまった。そのあまりにも大きな差に自分ながらとまどうほどだ。

 これが13D2の持っている真の実力である。フェーダーを出力に接続することで、このラインアンプの真価が発揮される。これはまったく考えてもいなかった結果になった。

 現在、エージング不足のために高音に若干の癖を認める。これが緩和されたら、もっともっと良い方向に変化していくだろう。

MR90近影2013年12月09日 21時36分28秒

MR90は結局、倉庫に眠っていたレンガを探し出してきて並べ、木片を横方向にわたし、その上に置いてみた。操作する上で不便は感じることはなく、なんとか様にはなったがバラックであることには変わりはない。

13D2ラインアンプ固定バイアスレギュレーター2013年12月12日 22時24分02秒

 Eckmillerのフェーダーを入れて有頂天になっていたら、好事魔多しで、不具合が出てきた。高い周波数域で妙な響きがつきまとう。なぜだろう。それまではそんなふうに感じたことがなかった。

 考えられる原因としてまず最初に疑うのは、変更した箇所というのが定石。しかしどうやっても手がかりが見つからない。じょじょに、他の箇所を疑うようになった。もやもやとした数日間を過ごすうちに、あるところが気になってきた。固定バイアス用のレギュレーターである。

 思い起こすとこのレギュレーターの構想は二転三転して、いまのSalas レギュレーターに落ち着いた経緯がある。Zobelも最初はいらないのではないかとさえ思っていた。その後、思い直して1Ω+22nFとして問題がないと思ってきた。どうもそこが怪しくなってきた。
これまでの経験では22nFでは小さすぎて、理想値は33nF以上であるとわかっていた。それを22nFで済ましていることが問題ではないのか。

 そこに気がついたのが今朝。仕事場から帰ってから早速44nFに変更し、音を聴いてみた。結果は、推定通り。気になっていた違和感は消失。原因はやはりこれだった。

 固定バイアスの電源でもこんなに音に影響を与える。正直、驚いた。まさかここまでとは。世の中の固定バイアス電源は、CRタイプがほとんどだろう。バイアス電源の質と音の関係に言及した人がいままでどれだけいただろうか。

 固定バイアスレギュレーター、何度も手を加えてきたのでバラック状態になってきた。近いうちにもっとしっかりとした基板で作り直したい。

13D2ラインアンプ 固定バイアス電源改訂2013年12月23日 16時31分39秒

 このブログにふさわしくさんざん迷走していた固定バイアス電源だが、思いきって大幅な改定をすることにした。

 これまでいろいろ手を加えるてきたのにもかかわらず、どうしてある限界を超えることができないもどかしさをいつも感じていた。どこかに無理があるに違いない。シャント素子に使っているIRF9610に十分な電圧がかかっていないためではないか。測定するとDG間の電圧はわずか0.2V程度である。これを疑った。

 当初、マイナス電源ということで、誤差増幅回路もそれに合わせてすべて変更した。でもそんなことをしなくても、プラス電源の誤差増幅回路がそのまま使えることにあとで気がついた。そちらのほうがシャント素子にMTP3055VLを使えるので都合が良い。というのは、Vg(th)が低いためDG間にも十分な電圧をかけられ、結果として無理のない動作が期待できる。早速基板を最初から作り直した。

 音を聴いてみると、気になっていた音の堅さがとれ、ストレスがなくなった。13D2がのびのびと活躍しているがわかる。当初予想もしていなかった高みにこのラインアンプは成長した。

 何度も言うようで恐縮だが、固定バイアス電源がこれほど音に影響を与えるとは思ってもいなかった。

水晶発振器用レギュレータの影響力2013年12月23日 17時12分11秒

 13D2ラインアンプの固定バイアス電源のことで試行錯誤している中で、印象に残った出来事があった。定電流回路の電流設定抵抗をススム抵抗からVARに変えたとき、目もくらむような音の変化を経験した。あれは夢か幻か。はたまた単なる思い過ごしであったのか。あれ以来ずっと気になり、この効果を他の箇所でも試してみたいと思っていた。試すとしたら水晶発振器用のレギュレータが一番わかりやすい。
 今回、Texas Component社と取引する機会があったので、ついでにVAR5.6Ωも一個追加発注した。

 届いたVARを早速レギュレータに実装。直後は何の変化もないのでちょっとがっかりしたが、それから数時間放置してもう一度聞き直して驚いた。システムをゼロから入れ替えたかと思うくらい。音が前に出て、部屋いっぱいに広がる。微細な音の表情が手に取るように聞き分けられる。ライブ録音では、演奏者はもちろん聴衆の気分までもが伝わってくるかのよう。

 DACの研究に取り組み始めた頃、出てくるピアノの音が子供のおもちゃのピアノのように感じられた。最近はアップライトピアノくらいになったと思っていたのだが、いろいろ手を入れてもそれから先に進まず足踏み状態だった。

 それが水晶発振器(NZ2520SD)のレギュレータの抵抗を一個入れ替えただけで、本物のグランドピアノに肉薄する音が出るようになった。あいた口が塞がらないとはこのことか。

 システムはかけ算であると言われる。ボトルネックがあれば、それがそのままシステム全体の限界を決めてしまう。だから自分のシステムのボトルネックはどこにあるのか、いつもそこのことを考えてきた。それがまさか定電流回路の抵抗だったのは思いもよらなかった。固定バイアス電源で経験した変化は、やっぱり気のせいではなかったようだ。

 NZ2520SDは、DACを追求しているdiyerにとって水晶発振器の標準原器になったと言っても良いかもしれない。これに用いる三端子レギュレータやパスコンもいろいろ研究されてきている。

 でも、今回のこの変化を知ってしまうと、出来合いの三端子レギュレータでどこまでNZ2520SDの実力を発揮できるのか、と考えてしまう。パスコンの質もそれなりに影響を与えるが、影響の度合いはここまでは大きくなかった。

 現在エージング開始から約70時間経過。エージング不足にもかかわらず、いまからこんな音が出るのだから、この先いったいどこまで変化していくのだろうか。