抵抗ートランスI/V変換回路 Ver.4.0 感動です2007年02月12日 20時58分07秒

 今日は、私のオーディオライフにとってエポックメイキングな一日になるだろう。このブログを書いている(打っている)手も心なしか震えているように思う。

 今まで、I/V変換後には必ずバッファーと音量調整をかねてアンプが必要だと思いこんでいた。このアンプの位相補正量の最適値を探そうと今日一日やっきになっていたのだ。しかしその努力がすべて水の泡になってしまうとは。。。

 ことの次第はこうである。かれこれ数十回も位相補正のCやRを取り替えながら、100KHzの方形はを入力し、アンプの出力波形を見ていた。なんどやっても波形はきれいにならず、オーバーシュート、アンダーシュート、リンギングが収まらない。こんなところで妥協するしかないかとあきらめ、音質を確認するためにCDを聴くことにした。ところがI/Vコンバータのスイッチを入れるのを忘れて、そのままCDを演奏させてしまった。メインアンプのスイッチは当然入っている。

 驚いたことに音が出てきた。もちろん小さな音。ところが、それそれは実に美しい音なのだ。思わず聞き惚れてしまった。アンプなしで音が出たのである。
 これがヒントとなった。もしかすると、トランスの出力をそのままメインアンプに流すことができるのではないか。そう考えた。

 いっぽう不安もある。「DACの出力をダイレクトでメインアンプに接続しても、薄っぺらな音になり、つまらない音楽しか出てこない。バッファアンプは必ず必要である」これが世の常識である。

 しかしあの幻の音を聴いたとき、決断した。数分後には、トランスとバッファアンプをはずしてしまい、トランスの二次側と出力ピンを半田付けし終わっていた。

 問題は音量調整をどうするかである。トランス二次側に可変抵抗器を入れるのはさすがに躊躇した。もしかすると世界にはこのようなアイデアをすでに実行している人がいるのではないか。そう思いついて、早速ネットで検索してみた。いた。次の所に詳しい記事が掲載されている。あのK&K Audioと関係があるようだ。ルンダールのトランスも使っている。
http://www.raleighaudio.com/RAKK_dac_articles.htm

 同じことを目指している人がいた。俄然、確信がわいてくる。二次側にはとりあえず3.9kΩのスケルトン抵抗を並列に接続して適度な音量が得られるようにした。回路図を掲載しておく。バージョンはとうとうVer4.0に上がった。

 それで出てきた音はどうだったか。抵抗のエージングがされていないので、最初の一音で全体が高い方に偏っていることがすぐにわかった。その点では、まだ正確な判定はできない。しかし、そんなことはどうでもいい。ドン・ジョバンニの歌手たちが、かくもこれほど表情豊かに歌っていたのかと感激した。ホールの空気感、残響が澄み切っている。これを聴くと、今までどれだけ電気アンプによって情報が削り取られていたのかと、驚きあきれてしまった。位相補正をどうするかなどということがばからしい。

 どんなにすばらしいアンプであっても、ないほうが良いに決まっている。「音の良いアンプ」など存在しない。○○式アンプであろうとこの原則から逃れることはできない。こうなるど、メインシステムのWE真空管を使ったI/Vコンバータもきれいさっぱり未練がなくなった。

 トランスというものは本当にすばらしい素子である。今まで、トランスは悪であると「洗脳」され、音の入り口から出口までトランスを入れないことを信条としてきた。

 佐久間氏のように最先端のオーディオから見ればまるで化石のような回路を追究しているように思っていたけれど、実は物事の本質をきちんと見つめておられる方であったのだ。つくずく私は遠回りをしてきてしまった。
  
 アンプを通さずにトランスだけを通過した音は、どのように表現したらよいだろうか。何か低く圧迫するような天井がはずされて、星空が見えるようになったと言うべきだろうか。それとも、油滴がもうもうと舞うようなどろどろした空気が一掃されて、乾いた涼しい空気が部屋を満たしていると言うべきか。粉塵と油で汚れていた窓ガラスを開け放したようなと言うべきか。

 ふすまを隔てた隣でパソコンに向かっていた妻が、音をふすま越しに聞きながら「すごい音になった」と言ってくれた。これはうれしかった。

 とりあえずは、スマートな音量調整の方法を見つけることが緊急の課題である。

コメント

_ amama ― 2013年09月03日 13時22分41秒

同感です^^

スーパーパーマロイで作って貰ったI/V変換用のトランスで
実験を重ねていますが、音楽が出力されています。

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